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解釈変更による憲法9条の改憲は断じて認められない

 安倍政権は内閣の判断で憲法解釈を変更し、これまで歴代政府が憲法9条の規定から認めてこなかった「集団的自衛権」を容認し、日本を再び「戦争できる国」へ転換しようとしています。

 首相の私的諮問機関が海外での武力行使を全面的に容認する報告書を提出したことをうけて、安倍首相は記者会見で、集団的自衛権行使を認める憲法解釈の変更を検討していく考えを表明しました。首相の表明を受けて自民、公明の与党は、密室で「憲法解釈の変更の閣議決定」にむけて協議を重ねてきました。6月27日に政府は、この間の与党協議を踏まえた海外での武力行使を無限定に可能とする解釈改憲の閣議決定最終案を自民、公明の両党に提示しました。

 提示された最終案には、@個別自衛権の緩和A海外での戦地派兵の拡大B集団的自衛権と軍事的な集団安全保障措置の容認が盛り込まれました。その中で焦点になっている海外での武力行使について、日本への攻撃が無くても日本と「密接な関係にある他国に対する武力攻撃」で「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由・・根底から覆される明白な危険がある」と時の内閣が判断すれば、武力行使は「憲法上許容される」と結論付けました。さらに今回の解釈変更の要件を充たせば多国籍軍への参加に道を開く集団安全保障での武力行使も容認しています。

 自民党の高村副総裁は今回の解釈変更は、「解釈の適正化」であり改憲ではないと説明していますが、集団的自衛権は「他国に対する武力攻撃」を「排除」する為の武力行使とされており、日本を守る「自衛」とは無縁です。それを「日本を守る武力行使」などというのは、集団的自衛権の本質を隠したごまかしです。交戦権を否認し、戦力不保持を規定した憲法9条2項のもとで海外に出かけて武力行使することが許されるはずはありません。そもそも公権力を縛る憲法を、一内閣の判断で憲法解釈を勝手に変えることは立憲主義の否定に他なりません。憲法の解釈を勝手に変更してしまうことが許されるなら、時の政権はやりたい放題ということになります。

 憲法9条で謳われている「平和主義」は、武力によらず平和的に諸国間の問題を解決していこうとする国際的な世論と国内の平和を希求する願いの高揚という時代背景のなかで結実した理念です。アジアの一部諸国間で緊張が高まる中、紛争を武力によらず平和的な解決を求める流れが強まっています。解釈改憲による海外での武力行使容認はこの時代の流れに逆行し、かえって緊張を高めるものです。今こそ憲法9条の理念に基づく平和外交による国際貢献が求められています。閣議決定による解釈変更の改憲策動は直ちに中止すべきです。