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福祉労働の専門性とは

 「入所者暴行容疑で逮捕−神戸老人ホーム元職員」。2月14日の神戸新聞に寝たきりの女性の顔をはたいているショッキングな写真が掲載された。本人の訴えに家族が隠し撮りした映像写真である。

 2月の関西ブロック12春闘労働学校「福祉労働者の専門性」分科会の冒頭で、先の記事が紹介された。

 なかなか重い分科会のスタートである。次に新聞記事も踏まえて「〜専門性」を一言で表そうとパネルトーク。保育の現場から「こども一人一人のための発達保障を実現する集団づくり」、民営化された院内保育所の保育士は「厳しい医療現現場で働く看護師を、丸ごと支える保育実践」、栄養士2年目の女性は「『食』を通じてこどもが見えてきた」と、目を輝かせた。

 大阪の参加者は「階級性(階級的視点)・社会性(社会的視点)・創造性(創り出す力)・専権性(自ら決める力)」とまとめた。兵庫の専従者は「専門性と労働者性は切っても切れないもの、労働者性なくして福祉労働者の専門性はない」。両名とも含蓄のある言葉である。ちなみに私は「権利と命を守り、発達を保障する−そのための科学と人間性」と発表した。

 利用者に対する暴行については、「福祉労働者として絶対に許せない、だけど貧弱な体制の夜勤で非常事態になったときなど平常心を失いそうになる。問題を受け止め共有化する職員集団が必要だ」と介護現場から発言。

 07年、福祉人材確保アンケートでの金澤先生(佛教大学)の言葉を思い出した。

 「劣悪な賃金に加え、増大する仕事量や困難なケースに対して相談する機会も仲問もないい、自分で抱え込んでつぶれていく姿は痛ましい。労働組合はどう応えていくのか」

 参加者から問題提起があった。「問題は暴行だけか? 職員が足りずに、入浴回数が一方的に減らされる、おむつ交換も長く放置される、まるで小鳥のように並はされて一人の職員から食事介助を受ける、これらも広義の虐待ではないか?仕方がないと私たち自身が流されていないか?」