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「おらあ、いきてていいんだ!」


「東北で大震災による被害を受けた人たちには、農家の方々、海で働いてきた漁師、街や村の個人商店主の方々などが多くいた。こんな人たちは、今まで人の世話にはならず、自分の腕一本で生活を、家族を支えてきたことを誇りに思って生きてきた。

しかし、今回の大震災で財産も生きる糧のすべてを失い、金も稼げない、あげく人の世話にならないと毎日の生活すらできない。

こんな自分に生きている値打ちがあるのか、と苦悩している。こういった人たちは今まで憲法なんぞ一切読んだことも無かった。しかし、初めて憲法を読んで、とりわけ25条にふれることで『おらあ、いきてていいんだ!』とつぶやいた。」

東北大の日野秀逸名誉教授の講演の一部である。人づてに聞いた話なので正確ではないが、日野教授は被災地を廻り憲法に沿った復興を訴えている。

日本の災害救助の法体系では、自然災害は基本的に自己責任であった。そして失業などの生活困難者についても自己責任である。

厚生労働省は大震災の翌日には、被災地に対し命を守るための特例を次々に発信した。そして全国からの支援が今も続いている。一方の、総務省データは361万人と言われる完全失業者、半失業を加えると膨大な数の労働者が今日を生きることに苦悩している。この社会的貧困は若者や子どもたちに今襲いかかっている。

自らを中間層だと思っていた中堅の会社員が、けがや病気で傷病手当受給者になったとたん、その手当額は生活保護基準を下回り、とたんに貧困層に陥っていく。高校ではクラブ活動が成り立たなくなっている。決して自らの小遣いではなく、生活を支えるためのアルルバイトで高校生労働者が疲れ果てている。

国民的な貧困が果たして「自己責任」なのか?厚生労働省の被災地への特例措置は、例外ではなく本来社会保障行政の基本に据えるべきではないか。

野田政権がしゃにむに推し進める構造改革回帰路線への対抗軸は、まさに日本国憲法である。