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あらためて「労働者」とは − 最高裁の画期的判決

 八百長問題で存続さえも危ぶまれている大相僕だが、ところで大相僕力士は労働法規上の労働者なのだろうか? 元大関琴光喜に続いて、新たに提訴を発表した力士は、八百長への関与があると退職勧告を受けたが、拒否したため解雇処分となった。処分撤回を求める裁判で労働者としての認定がでるのか、注目されている。

 一方、日本プロサッカー選手会が労働組合として登録することを決め、待遇改善に向け団体交渉をもっていくことが報道された。芸能やプロスポーツ界での「労働者性」がいま問われている。

 4月12日、最高裁は、新国立劇場の合唱団員、INAXメンテナンスの委託労働者について、いずれも労働組合法上の労働者と認定する判決を下した。出演基本契約や労働委託契約という契約の形式論を重視し、「労働者ではない」とした東京高等裁判所の判決を全面的に棄却した画期的判決である。

 日本の雇用関係は、経団連が1995年に発表した「新時代の日本型経営論」に沿って、その後の構造改革により、労働力の流動化が主流となり、労働者の非正規化が急速に進んだ。この非正規化と同時にすすめられたのが「非労働者化」である。

 不当にも労働法制の適用を逃れようとする大企業径経営者の動きが広がり、この「個人請負労働者」は全国で120万人を超えると推計されている。

 労働者と同様の就労形態でありながら、社会保険、労働保険だけでなく、労働諸法制による労働者保護の枠から外され、無権利な状態で不安定な労働に従事している。そのように、弱い立場である労働者が、労働契約書の書面の形式だけで「勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」とした憲法28粂の適用から外されることは、断じて認めることはできない。

 労働者を労働者として扱うこと、労働組合を通じた適正な労使関係の構築が基本であることを、もう一度私たちの運動の確信にしたい。