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参議院選挙後の民主党の福祉政策


7月に行われた参議院選挙では、国民は、消費税増税と大企業・財界の要求である法人税減税を争点にした民主党政権に対し、大きく過半数割れをおこす厳しい審判を下した。

しかし、財界は「民主党の敗因は消費税増税ではない」と強弁し、すみやかに消費税増税と法人税減税をおこない「強い経済、強い財源、強い社会保障」を実現すべきと発
言し、それに呼応した民主党政権も医療・介護・子育てなどを成長産業として市場化路線をすすめる方向を進めようとしている。

6月発表の新経済成長戦略では「産業構造ビジョン2010」を発表した。同ビジョンでは〜国を挙けて産業のグローバル競争力強化〜を実現するため、「医療・介護・健康・子育てサービスを経済の牽引力となる成長戦略産業分野」と位置づけ、雇用戦略では「幼保一体化」を掲げた。

介護では「2015年、団塊の世代の退職金は54兆円」と算出し、これからの「消費の主役は老人」として「医療・介護の成長産業化」を大きく展開している。

民主党の経済成長戦略と同時期に、経済同友会は「公的介護保障の見直しと介護を自立した産業にするための環境整備」と題する新たな提言をおこなった。

同提言では、要支援1・2と要介護1ヘのサービスを保険対象外とすること、利用者負担の2割(現行1割)への引き上げ、社会福祉法人への施設整備費などの公的支援や優遇税制の撤廃など、介護サービスの低下とともに新たに高齢者・家族に痛みを押し付け、同時に株式会社の一層の参入を促進する提言を行っている。これらは高齢・介護現場に大きな混乱と矛盾を引き起こす、まさに国民の人権にかかかる大問題ではないか。

これらの方向は、長きにわたった自公政権でもできなかったものであり、民主党政権の新自由主義的政策の方向性を明確にあらわしたものと言わざるを得ない。

2012年介護報酬見直しにむけ、これらの策謀を打ち壊す国民的な大運動を起こそう。