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政権交代と社会福祉制度

昨年の総選挙で政権が交代、政治が変わる、と期待を国民に抱かせた。障害者自立支援法訴訟での基本合意は「速やかに応益負担、障害者自立支援法を廃止し、憲法に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する、あらたな総合的な福祉法制を実施する」というものであり、まさに障害者運動史に残る画期的な成果である。しかし、応益負担導入、障害者制度改悪の前提であった「社会福祉基礎構造改革」路線は、方向転換どころか、後期高齢者医療制度見直しの凍結、介護保険の新認定基準による軽度化の進行など、さらに新自由主義的方向が押し進められようとしている。

子ども・子育て検討会議「子ども・子育て新システムの基本的方向」では、最低基準廃止と地域主権、新保育システム、幼保一体化など、これまでの議論を集合させたもので、政府の狙う保育制度改革の総体と言えるものである。この間も、特区で認められていた3歳児以上の給食外部搬入を全国的に実施するなど公的保育制度解体が進められている。

自立支援法廃止と新制度制定にむけて開始された「障がい者制度改革推進会議」の審議は、当事者参加など大きな前進を生んでいるが、一方で施設、障害児施策、教育、医療などの問題認識が不十分なことや、労働者の専門性や労働条件改善、人材確保などの視点がないなど新たな課題が明確になってきた。

民主党はマニフェストの見直しや消費税引上げを□にし始め、社会福祉に関して前政権の構造改革路線と手を切ることができず、国民生活の貧困解決につながる政策を示せないところに政府の矛盾の本質がある。

政治と金をめぐる不信、基地問題、平和と核」をめぐる問題もおおきく広がる中、国民の暮らしと安全を守り、構造改革路線の転換と国民に広がる貧困からの脱却を実現させることがなによりも求められている。今回の政権交代を冷静に評価し、真に私たちの要求を実現させる勢力はどこなのか? そのことを見極めることが今、福祉労働者に求められている。