■組合の主張・焦点■ 戻る

インド人女性の大量虐殺−世界から女性差別の根絶を

天王寺駅で久しぶりに「ビッグイシュー」を買う。イギリス発のホームレスを支援する雑誌で、一冊300円、うち160円がホームレス販売員の収入になる。まだ買ったことがない人にはぜひお勧め、一度手に取ってみてほしい。

10月15日号で、「消えるインド人女性5000万人」という記事が掲載されている。男尊女卑のインドでは、男児は家計を助けると尊ばれ、女児は結婚の持参金(ダウリー)がかかるため、呪われた存在として扱われ、中絶する家庭が多く5歳以下の女児の死亡率は男児より40%も多い。ダウリーの平均額は中層家庭年収の5倍ともいわれ、娘3人持つと家族が崩壊するとされている。

現実に03年には15歳から19歳の3姉妹が一緒に首をつって自殺したことが報道されている。女性が婚前・婚外交渉をした場合に実の父親や兄弟が娘を殺す「名誉殺人」、持参金が少なかったため嫁ぎ先の夫や家族に殺される「ダウリー殺人」が数多く報告され、ダウリー殺人に至っては02年には7000人に及ぶ。先進国の自然な男女比は100対105といわれ、01年の人口で当てはめて調べると7000万人の女性の行方が知れず、人口調査で娘の存在を知らせないこともあるため、5000万人程度本来いるはずの女性がいない、と推計している。

世界のビジネスに大きく乗り出しているインドの近代化は、この問題の解決の方向ではなく、年収増加に伴うダウリー(持参金)の高騰でさらに問題が大きく広がる方向に進んでいる。また医療の進歩は胎児の性別確認が容易となり、胎児の性別確認ユニットがインターネットで売買される事態に及んでいる。この問題を世界に発信しているライターのリタ・バナージさんは「これは女性の大量虐殺です」と告発している。

日本の福祉労働者の8割が女性、官製ワーキングプアと呼ばれる貧困の根底には、女性差別が根強く巣食っていると思っている。福祉労働者として他国のことと、ほおっておくわけにはいかない。