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利潤優先の規制緩和にストップを

中国の天洋食品工場でつくられ、輸入された冷凍製ギョーザによる中毒事件が、あらためて国民の食の安全、食料自給の問題を浮かびあがらせています。
問題のギョーザは日本向けに、「日本たばこ産業」の子会社である「ジェイティフース社」が企画し、商社と天洋食品が一緒になって開発した食品です。調理冷凍食品の輸入量は、この10年間に4倍近くも増えています。輸入食品が急増するのに検疫が追いつかず、輸入食品の検査率は10%しかありません。ギョーザなど加工食品は、もともと農薬残留検査の対象からはずされていました。全国13の検疫所の食品衛生監視員は、たった334人で、輸入食品の9割は検査なしで、家庭にもちこまれているのです。

こうした事件が起こる背景には、アメリカ政府が経済のグローバル化の名のもとに、新自由主義にもとづく「構造改革」を、世界の多くの地域に押し付けてきたことがあります。日本はアメリカの押し付けを受けいれ、企業の利潤追求を最優先にして、食品の輸入促進、農業を破壊する規制緩和をすすめてきたのです。

ことの発端は1985年のプラザ合意の円高・ドル安調整にはじまります。円高で輸入食品を安く買うことができるようになり、大手食品メーカーと外食産業、スーパーなど商社と一体になり食料輸入をすすめました。

90年には日米政府のとりきめで、輸入食品の検査や手続きを簡略化し、水際検査をやめてモニタリング検査に緩和しました。90年代の中国では、日本企業の冷凍野菜工場が建設ラッシュを迎え、冷凍野菜の輸入も急増してきたのです。そのいっぽうで、日本の農業の破壊がすすみ、食糧自給率は39%までさがってしまっています。

企業の利潤追求を最優先に規制緩和をすすめる構造改革政治は、多くの労働者を貧困層に落とし、国民の食の安全、くらしの安全をおびやかすところまできています。安全・暮らし・福祉優先のための規制をすすめ、構造改革政治そのものを転換していきましょう。