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教育基本法と憲法九条は"一蓮托生"

「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。・・・」。教育基本法の前文の冒頭部分である。格調高く、散文詩のようなリズムカルで分かり易い。

「われわれ日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うこと。・・・」。

この文章は、教育基本法改悪案の前文冒頭部分である。現行基本法に比べ、文章そのものがあまりに貧相であり、さらに重要なことは『日本国憲法』をしっかりと消去している。前文に『日本国憲法』があるかないかは、「世界の平和と人類の福祉」が同じように書かれていても、意味はまったく異なる。

今日、わが国には自衛隊というれっきとした軍隊が存在する。そして、自衛隊はイラク特措法にもとづきイラク・サマワに派兵されている。この派兵費用には、03年度242億円・04年度135億円と、多額な税金が使われている。ちなみにイラク特措法の正式な名称は、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」という。

アメリカ政府の要請にもとづいてイラク派兵した自衛隊は、現行憲法九条により、兵器をもつ軍事行動は禁止され、人道支援に制限されているのである。

教育基本法改悪案の「日本国憲法」を消去した意図は、いったい何なのであろうか。それは「世界の平和と人類の福祉」をかかげ、軍事行動のできる海外派兵のできる国づくりと人づくりにあるのではなかろうか。すでに、「人道復興支援」の名目で自衛隊は海外派兵されている。支配体制側の残る課題は、自衛隊員に堂々と武器を持たせて武力行動のできる体制づくりであり、武力行動に蹟賭しない人づくり・世論づくりなのであろう。

教育基本法改悪を許すことは、断じてできないことである。