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山場をむかえている支援費制度への運動

二〇〇三年四月から障害者福祉での「支援費」制度がはじまろうとしている。
 先日、ある障害者施設分会の父母をまじえた学習会で、こんな質問を父母からうけた。
「この前、施設に通う六二才のA君が亡くなった。仮にわたしの子どもが六二才まで生きるとするなら、あと三〇年ある。その時、わたしの年令は九六才になる。『支援費制度は障害者みずからが施設を選ぶ』ということだが、知的障害のわが子にはそのような能力はない。当然、後見人として弁護士をつけなければならないと思うのだが、費用はどれくらいか? 後見人はいつからつけたらばいいのか?」
質問者の質問を逆算すれば、本人の年令は六六才ということになる。子どもために今も現役で必死に働いているという。子どもためには、自分が九六才までは生きぬかねばならないと思いつめる質問者を思うと、普段であれば自分自身の老後に思いをめぐらし、後見人問題について質問がでてきて当然である。
しかし、質問者はみずからの老後よりも三二才の知的障害をもったわが子のことで、身も心も頭がいっぱいなのであろう。
このような現実が、今日の障害者と障害者家族をめぐる実態である。「障害者みずからが選ぶ権利を保障するため」と、厚労省は声高に言うが、その実なんと空しく、そして、貧しいわが国の福祉水準であることか。
支援費制度発足にあたり、厚労省はすでに「障害区分程度」のチェックリストをつくり、チェク項目を、「@全面介助、A部分介助、B介助の必要なし」と三区分し点数化してサービス内容を決めるという。そして、八月にはサービスに要する支援費案や、障害者の負担についての基準案が予定されている。
支援費基準では人件費の見積りが課題となり、障害者の負担基準では家族負担を含み高負担させないことが課題となる。支援費制度への運動は、最大の山場にさしかかっている。
厚労省の基準づくりとあわせ、市町村への運動を父母とともに強化しようではないか。